といっても、本当の遠足が開催されるわけではありません。もう一年と少し前になってしまいましたが、イベントとしては終了した岩木遠足を最後に本としてまとめたいとお伝えしました。そして、ようやく、その本が完成となりました。
結局、どういう本になったのかというと、岩木遠足に関わっていただいたみなさんをもう一度訪ね、人と生活を巡るという岩木遠足のテーマのもと、それぞれのみなさんの生活のことや仕事のことなんかについていろんなお話をうかがってきました。そして集まったお話を巡り、お話を聞いて思ったこと、遠足の思い出などが紡ぎ合わさって、新しい、架空の遠足の物語ができました。本の中の遠足で私たちは、バスに乗って話者のみなさんを一人ひとり訪ねてまわるのです。
それぞれのお話を聞いていて強く感じたのは、言葉や喩えは違っていても、何か共通することついて語ってくれているように思えたことでした。それは、例えば岩木山をいろんな角度から見ているような感覚でした。
何か、「こうでなければならない」という断定的なことではなく、「こういうあり方もあるんだよ」と、もうひとつの選択肢を増やしてくれているような、そんな気持ちになる言葉が多くありました。頂点や目的地に到達することだけが大切なのではなくて、今、こうして歩いていることこそが大切であり、楽しいことなんだよと言ってくれているようでした。
普段は見えにくくなっている当たり前のことに、それぞれのあり方で気づかせてくれたように思います。それは、私たちのこれからにとって大きな勇気となり、ふっと気持ちを軽くしてくれるものだと思います。
この物語は、たくさんのそんな言葉と出会える遠足です。
それでは、ページをめくり、バスに揺られて、今までの見慣れた風景が少し違って見えてくるような、そんな遠足に行きましょう。
準備はよろしいですか?それでは、集合場所でお会いしましょう。楽しみにお待ちしております。
岩木遠足ディレクター 豊嶋秀樹
イベントとしての岩木遠足が終わって取り組んでいた「岩木遠足・人と生活をめぐる、26人のストーリー」がついに完成しました。
発刊にあわせて、11月22日(日)の弘前での刊行記念イベントを皮切りに、編著者の豊嶋秀樹ができたての本を抱えて旅回わりいたします。岩木遠足の話と本の話を中心に、岩木遠足のつくり方のような実践的なお話、近年夢中の山とスキーのお話なども交えて小さなトークをさせていただきます。当日は岩木遠足の本の販売もいたしますので、まだ本は読んでいないよ、という方もぜひこの機会に手にとっていただけたらと思います。
イベント詳細 | facebook
編著 : 豊嶋秀樹
制作 : 「岩木遠足」の本制作委員会
話し手のみなさん
佐藤初女(森のイスキア主宰)、石川直樹(写真家)、佐藤ぶん太、(津軽笛奏者)、成田貞治(弘前こぎん研究所所長)、中川俊一(必殺ねぷた人三代目棟梁)、阿保六知秀(こけし工人)、石田エリ(編集者)、児玉大成(こまきの自然学校代表)、工藤光治(白神マタギ舎代表)、柴田誠(マタギ)、KIKI(モデル)、西村佳哲(働き方研究家)、木村秋則(リンゴ農家)、ルーカスB.B.(クリエイティブディレクター、PAPERSKY編集長)、タテタカコ(シンガーソングライター)、石村由起子(くるみの木主宰)、ogurusu norihide(音楽家)、YTAMO(音楽家)、オオルタイチ(音楽家)、二階堂和美(シンガー)、トンチ(音楽家)、原田郁子(クラムボン)、福田里香(お菓子料理研究家)、笹森通彰(シェフ)、三原寛子(南風食堂)、白取克之(岩木山麓しらとり農場代表)
<順不同、敬称略>